マーカッシュ形式の使いかた
特徴部分が分かりやすい!
マーカッシュ形式の次は、ジェプソン形式についても教えて下さい!
お、やる気スイッチが入ったみたいね。
前にも言ったけど、ジェプソン形式は「前提部分」と「特徴部分」の2パートに分かれる形式よ。
前にも挙げた下の例でいうと、「レンズ、リム、テンプルがある眼鏡」が前提部分ね。”プリアンブル(preamble)”と呼ぶこともあるわ。
そして、今回の発明では鼻当てをつけたことに特徴があるの。
前提部分 | 2つのレンズと、前記2つのレンズを固定するリムと、前記リムから伸びる2本のテンプルと、 |
移行部分 | を備える眼鏡であって、 |
特徴部分 | 前記リムには、鼻当てが設けられている |
まとめ(カテゴリ) | ことを特徴とする眼鏡。 |
確かに、特徴が分かりやすくて良いですね!
そうね、発明の特徴部分が審査官に伝わりやすいメリットがあるので、ヨーロッパや中国では特に推奨されているわ。
ただ…デメリットもあるのよ。
ジェプソン形式のデメリットとは…?
ええっ!?
デメリットって何なんですか?
国によっては、「前提部分」に書いたことは従来技術だと出願人が認めた、と判断されることがあるの。
ぱてん太くん、特許発明の進歩性って、どうやって判断するんだっけ?
ええっと…
『当業者が「従来技術」から「本願発明」を容易に発明できたかどうか』、を判断するんですよね。
その通り!
つまり、「従来技術+当業者の(容易な)工夫」で到達する技術レベルが、本願発明のレベルを超えていた場合は、進歩性が無いので特許を受けられないの。
このとき、審査官が見つけた先行文献より、「前提部分」に書いた従来技術の方が高度だったらどうなるかしら?
ジェプソン形式は後から使え!
あっ…
余計なことを書いたせいで、当業者が簡単に本願発明のレベルに到達しちゃいますね。
そういうこと。
だから、日本出願を基礎として外国出願をする場合、外国でもまずは日本と同じ構成要件列挙形式で出しておいて、審査官から指摘を受けてからジェプソン形式に直すのがいいわ。
ところで「ジェプソン」って何?
英語だと「Jepson Claim」
ところで、「ジェプソン」って何なんでしょう。
「マーカッシュ」みたいに、また人名から来ているとか?
察しがいいわね。「ジェプソンクレーム」もアメリカ発祥よ。
米国特許商標庁の審査で使われる参考書(MPEP)にも名前が出てくるわね。
Drafting a claim in Jepson format is taken as an implied admission that the subject matter of the preamble is the prior art work of another.
クレームをジェプソン形式で書いた場合、前提部分(preamble)に書いた内容は他者の先行技術であることを暗黙に認めたとみなされます。
MPEP §2129
ジェプソン形式が認められたのは1917年のことよ。
細かいところは置いといて、下線を引いたところに「wherein」っていう単語があるのを見てくれる?
これが前提部分と特徴部分を分ける目印になるわ。
納得です!
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