色々なクレームを読んでみよう!
クリエ先生、まさにクレームって特許の心臓部分なんですね。
教えてもらってよく分かりました。
そこで最近、J-Platpatにアクセスして、いろんな特許の明細書のクレームを読んでるんです。
トップページの「簡易検索」から「特許・実用新案」を選んで検索ワードを入力するだけで、結構色々分かるんですよ。
でも、クレームの書き方ひとつ取っても色んなやり方があるみたいで…
どんなクレームがあるの?
よく気づいたわね。
例えば、物のクレームの書き方だけでも、こんなに種類があるのよ。
最初の2つは何となく分かります。でも後の2つは何のことやらさっぱりです…
- 書き流し形式
- 構成要件列挙形式
- ジェプソン形式
- マーカッシュ形式
構成要件の関係性が分かりやすい「書き流し形式」
じゃあ、順番に見てみましょうか。
「書き流し形式」は、発明特定事項、つまり構成要件を文章でつなぐように次々と登場させるの。
そうね…例えば、眼鏡の「鼻当て」が存在しない世界を想像してみて。そんな世界で初めて鼻当てを発明した人が、特許を出願するとしましょう。
2つのレンズを左右に並べるようにリムで固定し、 前記リムのうちレンズ同士を固定した部分の近くに2つの鼻当てを設けるとともに、前記リムのうちレンズ同士を固定した部分と反対側から伸びるように2本のテンプルを設けてなる、眼鏡。 |
あくまでも一例だけど、こんな感じね。
ちなみに、クレームの最後は体言止めにするのが慣例よ。つまり、名詞の後に句点、つまり「。」で締めるわけ。
なるほど。確かに文章を読み上げるみたいなクレームですね。でも区切りが分かりにくいかも…
そうね。書き流し形式では実際に装置を組み立てていくように文章を書くので、昔は機械分野ではよく使われていたみたい。
でも、文章のどの部分が構成要件だか分かりにくい上に、構成要件が増えてくると要素同士の関係がイメージしにくいというデメリットがあって、技術が複雑化した今では、使う人が少なくなっているわ。
今の主流は「構成要件列挙形式」
次は「構成要件列挙形式」を見てみましょう。
発明は同じ、鼻当て付き眼鏡よ。
構成要件A | 2つのレンズと、 |
構成要件B | 前記2つのレンズを左右に並べて固定するリムと、 |
構成要件C | 前記リムのうちレンズ同士を固定した部分の近くに設けられた2つの鼻当てと、 |
構成要件D | 前記リムのうちレンズ同士を固定した部分と反対側から伸びるように設けられた2本のテンプルと、 |
まとめ(カテゴリ) | を有する、眼鏡。 |
ふむふむ。
確かにこの方が、何が構成要素なのかや、構成要素同士の関係がわかりやすいですね。
そうでしょ!?
今の日本では、この書き方が主流と言っていいわ。
じゃあ、次に行くわよ。
「ジェプソン形式」は前提部分と特徴部分の2パート
「ジェプソン形式」っていうのは、別名「2パート形式」とも言って、発明を前提部分と特徴部分の2つに分けて記載するの。
さっきの眼鏡の例でいうと、こんな感じね。
前提部分 | 2つのレンズと、前記2つのレンズを固定するリムと、前記リムから伸びる2本のテンプルと、 |
移行部分 | を備える眼鏡であって、 |
特徴部分 | 前記リムには、鼻当てが設けられている |
まとめ(カテゴリ) | ことを特徴とする眼鏡。 |
なるほど!
「前提部分」には従来技術を書いておいて、新しく発明した内容を「特徴部分」に書くんですね。
そういうこと。
発明の特徴が分かりやすいのがメリットよ。
ヨーロッパの特許審査では、他の形式で書いたクレームをジェプソン形式に書き直すように言われることもあるわ。
そうか…
発明者だけじゃなく、審査官にとっても理解しやすいってことか。
前提部分と特徴部分を分けることには、分かりやすい反面デメリットもあるんだけど、今はまだ気にしなくてもいいわ。
選択肢がわかりやすい「マーカッシュ形式」
最後は、化学分野でよく使われる、マーカッシュ形式ね。
例えば、カルボン酸とアルコールの反応で生成されるエステルについてクレームしてみるわ。
カルボン酸の炭化水素基R1は、A,B,Cから任意の一つが選択されて、アルコールの炭化水素基R2は、D,E,Fから任意の一つが選択されるとすると、組み合わせは何通りになるかしら?
ええっと…3✕3で9通りですよね。
正解。つまり、素直に書こうとすると、9つのクレームを別々に作る必要があるの。
化学分野ではこういう「選択肢がたくさんあって、どれを選んでも発明の効果は同じ」という場合が結構あるんだけど、そこで役に立つのがマーカッシュ形式よ。
例えばこんな感じ。
A、B、Cからなる群より選択される一のカルボン酸と、D、E、Fからなる群より選択される一のアルコールと、から形成されるエステル。 |
なるほど、一つのクレームで9通りの化合物を表現できるんですね!
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