訴訟続出のナゾ…生海苔特許がアツい!
特許の判例を見ていると、「生海苔の異物分離除去装置」についての裁判例が妙に多いんだけど…
クリエ先生、こんなニッチな分野でどうして訴訟が多いんですか?
ぱてん太くん、面白いところに気付いたわね。
生海苔異物分離除去装置については、昔から色んな判例が出て、実務の規範にもなっているのよ。
まあ、生海苔美味しいですからね。佃煮や味噌汁みたいな和食はもちろん、パスタやサラダみたいな洋食にも意外と合うし。
食べ物の恨みは恐ろしいって言うから、争いになるのも分かる気がします。
そういうことじゃないんだけど………
どんな装置なの?
そもそも、海苔の作り方って?
でも、生海苔の異物除去ってどうやるんでしょうね?
そもそも海苔の作り方もよく知らないや。
私達がいつも食べている海苔は、生海苔を乾燥させて作るんだけど、ほとんど養殖ものなの。天然ものは「岩海苔」って言われて高く売られているわね。
海苔は和食に欠かせないでしょ?だから海苔の養殖場も日本中に広がっているの。佐賀の有明は特に有名だけど、他にも宮城、千葉、静岡、兵庫、香川などにも養殖場があるわ。
下の写真みたいに、海中に網を張って海苔を育てているの。
養殖した海苔が育ったら、いよいよ収穫よ。
のりを採取する際には、成長して長く伸びたのりを回転する刃で切りとり、ポンプで船上のかごに吸い上げます。その後、作業場で乾燥工程に入ります。
浜松市ホームページより
生産現場では、収穫してきた海苔の切断から洗浄、加工までを自動化した大型機械を使うこともあるわ。
そして乾燥させれば、おなじみの海苔のできあがり。
もちろん、生海苔のまま出回るものもあるわ。磯の香りが乾燥したものよりずっと鮮烈ね。
おお!
これでいよいよ海苔が食べられるんですね。
異物、混入……!!
でも…
一つ大きな問題があるの。それが「異物混入(コンタミネーション)」よ!!!!
ほんの少しでも異物が混入すると、たちまち商品価値が下がって売り物にならなくなってしまうの…!
だからこそ、海苔の製造業者や、海苔の加工装置の製造業者にとって、混入した異物の除去が死活問題なの。
…養殖した海苔の原藻(生海苔)には異物(例えば、藁屑などのごみ、アミ、エビ虫、合成樹脂片、甲殻類の破片、海苔以外の海藻、など)などが付着、混入している…
特開2007-306832
乾海苔にほんの少しの異物が混入しているだけでも商品のとしての価値が低下するため、海苔の原藻を切断、洗浄、脱水、等する生海苔(海苔の原藻)の処理工程において、大小の異物を分離・除去するようにしているが、生海苔(海苔の原藻)と異物とは付着状態(又は絡みつき状態)にあることが多いため、生海苔(海苔の原藻)の切断、洗浄、脱水、等のみでは異物をより確実に分離・除去することが難しい。
クリエ先生、すこし怖いです…
なんでそんなに海苔の製造に入れ込んでいるんですか…
異物…分離!
でも大変ですね。いろんな種類の異物を残らず除去しないといけないなんて。
原理はそんなに複雑じゃないわ。
基本的に、海苔と異物のサイズ差を利用するの。海苔は細かく切断されているし柔らかいから、細かい隙間も通過できるけど、ほとんどの異物は隙間を通れないの。
例えば…
そこで、…異物分離槽に投入した生海苔(海苔の原藻)と海水との混合液を回転させつつ、間隔が0.1mm~0.2mm程度の狭いクリアランスを介して…混合液を強制的に吸引し、当該クリアランスを通過する生海苔(海苔の原藻)と海水との混合液から当該クリアランスを通過できない異物を分離する生海苔の異物分離装置などが提案されている。
特開2007-306832
という具合ね。
なるほど。
ここから派生した色々な技術が特許になっているんですね。
そういうこと。
それじゃ、次はいよいよ、特許や訴訟の中身について見ていきましょ。
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